まぼろしマーチのはじまり

ことの起こりは昨年末、暮れの忙しさに尻をせっつかれる12月の中頃でございました。

いい声、印象に残る声、類稀な声、そういうものに惹かれるのだという話をしていたのです。

人の話を聞いていないことがある。

いい声の人とお話をしていると、その響きだけでなんだか納得してしまって、うんうんと頷いてしまう。

内容よりもその声で説得されてしまうことがままあるのだ、という、そんな話です。

斯様に人の声が、特に「いい声」が好きだ。

ところで、視覚のイメージは大変に強い。音楽も同様。

声は、通常の場合は話者存在とセットです。また、メロディに載せた歌になることもあります。

「いい声」が好きだ、というけれども、日常において果たしてその声をどこまで「聞いて」いるのか?

「いい声」を、声「だけ」に耳を澄ませることは、果たして可能なのだろうか?

そこで思い描いたイメージがありました。

薄暗い店内。

出演者の姿はない。

そして、空っぽの舞台にスポットが当たる。

静かに、密やかに。

「いい声」だけがどこからともなく聞こえてくる。

いいなあ、やりたいなあ、いいじゃん面白いじゃん、と盛り上がり、興奮冷めやらずシャノアールへ駆け込んだのでした。

ほんの2ヶ月半前の話です。

まさかその日のうちに会場主の承諾と、憧れの出演者へオファーまで通ってしまうなんて、誰が想像できました?

ちなみに私は予想だにしませんでした。とてもびっくりした。

想像が、どうやら現実になるようです。

3月15日はまぼろしマーチ、まぼろしマーチをどうぞよろしくお願いいたします。


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