3月15日、夜8時から開演だというイベントのためにあなたがChat Noirを訪れるとすれば、まずは店の入り口を探すことになるでしょう。
明るいエントランスへたどり着いたものの、おやおやどこだと迷われるかもしれません。
そういうこともあります。
ほら、闇夜の黒猫は見つけづらいものでしょう?
ご安心ください。
ほら、足元に。
猫の目みたいにぴっかり光るライトがあるでしょう。
よくご覧ください。
Chat Noirの文字が見えましたか?
そのまま、そのまま。
右手奥に目をやると、大きな黒猫の看板があるはずです。
どうぞお進みください。
店内は暗いので、足元にお気をつけて。
うわ、思ったよりも暗いな、と驚かれるでしょう。
大丈夫、じきに慣れます。
カウンターで飲み物を受け取ったら、どうぞお好きな席へ。柔らかなソファもございます。
ふうん、と物珍しく店内を見渡すでしょう。
壁には小さな明かりがいくつか。真ん中に、スポットに照らされた空っぽのテーブル。
定刻になると、深い、穏やかな声が開演を告げるでしょう。
壁のライトが落とされ、テーブルだけがぽっかりと残ります。
しばし間を置いて、給仕がやってきます。
捧げた大きな皿を、うやうやしくスポットの照らすテーブルの真ん中へそうっと置きました。
一言の挨拶もなく給仕は店の奥へ姿を消し、すると静かに。
密やかに。
どこからともなく、美しい声が物語を紡ぎ始めます。
話が終わるたびに給仕が皿を替え、そしてまた別の美しい声が物語を始める。
なるほど、これはレストランなのだな、とあなたも気づくでしょう。
皿には様々なモチーフが盛られている。それはきっと、物語を象徴する「何か」なのだ。
それぞれに趣の異なった声、書かれた時代も、場所も様々の物語。
一皿ごと、異なる味わいの美声を聞かせる、これはコース料理なのだと。
さあ、どうでしょうか。
仕立てはコース料理、でも、一つ一つがボリュームたっぷりのメインディッシュです。
低く、高く、甘く、苦く、固く、柔らかく、そして艶やかに。
妙なる美声と、古今東西の物語に、あなたは舌鼓を打つでしょう。
時間は瞬く間に過ぎてゆきます。
あなたが満足のため息をもらす頃、給仕は無言で最後の皿を下げ、スポットの当たるテーブルだけが残ります。
そして、
……ああ、ここからは当日のお楽しみにいたしましょう。
まぼろしは儚く、醒めてはじめて気づくもの。
Chat Noirでお会いできることを楽しみにしております。
3月15日はまぼろしマーチ、まぼろしマーチをどうぞよろしくお願いいたします。
より正確な道程はこちら↓↓
https://www.chatnoir-yokohama.info/p/acess.html